太閤・秀吉が愛した“金泉”へ。有馬温泉「兵衛向陽閣」で巡る、日本最古の湯と歴史の物語

日本書紀にもその名が記され、1300年以上の歴史を誇る、日本最古の温泉郷、有馬。時の天下人・豊臣秀吉が、戦の疲れを癒すために何度も訪れたというこの地には、今もなお、歴史の香りが色濃く残っています。そして、秀吉から「兵衛」の名を授かったと伝えられる、有馬を代表する宿が「兵衛向陽閣」です。

この記事は、単なる宿泊施設の紹介ではありません。あなたが、歴史のページをめくるように有馬の坂を上り、太閤が愛した“金泉”に身を浸し、そして美食に舌鼓を打つまでの一日を綴った、時を超える「物語」です。

【物語の始まり】太閤の湯殿を目指して

神戸・三宮から電車で約30分。六甲の山々に抱かれた、風情ある温泉街・有馬に到着します。細い坂道に、湯けむりと歴史ある建物が並ぶ光景は、まさにタイムスリップしたかのよう。その中心の高台に、堂々と佇むのが「兵衛向陽閣」です。

広々としたロビーでチェックインを済ませ、客室へ。窓の外には、有馬の温泉街と、その向こうに連なる六甲の山々。この景色を、かつて秀吉も眺めたのでしょうか。そんな歴史ロマンに、心が躍ります。

【向陽閣の真髄】３つの湯処で、黄金の「金泉」を巡る

この物語の主役は、なんといっても有馬の名湯「金泉」。鉄分と塩分を豊富に含み、空気に触れると黄金色に輝くこのお湯は、保温・保湿効果が非常に高く、身体の芯から温まると言われています。兵衛向陽閣では、この金泉を、趣の異なる３つの大浴場で巡ることができます。

一の湯：和風情緒あふれる大浴場

格子戸や行燈など、日本の伝統美が感じられる空間。広々とした内湯と、風情ある露天風呂で、まずはじっくりと金泉の力を感じます。

二の湯：ローマ風のモダンな大浴場

アーチ状の天井とステンドグラスが美しい、洋風のデザイン。和風の一の湯とは全く違う雰囲気で、湯めぐりの楽しさを実感します。

三の湯：どこか懐かしい、湯治場風の大浴場

最も歴史を感じさせる、レトロな雰囲気の湯処。少し鄙びた感じが、逆に温泉好きの心をくすぐります。３つの湯を巡り終える頃には、肌はしっとりと潤い、身体の芯からポカポカになっているはずです。

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【兵庫の美食】明石の海の幸と、とろける神戸牛

夕食は、旅のスタイルに合わせて、会席料理かバイキングかを選べます。私が選んだのは、兵庫の幸をじっくりと味わえる会席料理。明石海峡で獲れた新鮮な鯛のお造り、丹波の黒豆、そしてメインは、世界に名だたるブランド牛「神戸牛」のステーキです。

きめ細やかなサシが入った神戸牛は、口に入れた瞬間、上品な脂の甘みがとろけるよう。これぞ、兵庫でしか味わえない、最高の美食です。バイキングプランでは、これらの食材を使った料理に加え、職人が目の前で揚げる天ぷらやお寿司なども楽しめるとのこと。どちらを選んでも、満足できること間違いなしです。

どんな人におすすめ？【旅っ温泉旅館 評価】

この宿の特性を分析し、最適な評価軸で客観的な評価をまとめました。

対象者	おすすめ度	主な理由・特徴
三世代旅行	⭐⭐⭐⭐⭐	豊富な施設と食事の選択肢が、世代の違う全員を満足させます。歴史ある温泉はご年配の方に特に喜ばれます。
夫婦・カップル	⭐⭐⭐⭐	歴史ロマンを感じながら温泉街を散策し、美味しい食事を楽しむ。落ち着いた大人のデートに最適です。
歴史好き	⭐⭐⭐⭐⭐	ここは聖地です。秀吉が愛した湯に浸かり、温泉街に点在する史跡を巡る。これ以上の歴史旅はありません。

まとめ：歴史の中に、身を浸す旅

兵衛向陽閣での滞在は、ただ温泉に入るという体験ではありませんでした。それは、日本最古の温泉地の歴史に触れ、天下人が愛した湯に身を浸し、自らもその壮大な物語の一部となるような、不思議で、そしてこの上なく贅沢な時間でした。

あなたも、この歴史の物語に、泊まってみませんか？